空力ニュースレター No.12

Aerodynamics

空力ニュースレター No.12

レイノルズ数:前回からのつづき

形状による違い

一般的に角のはっきりあるブラッフボディー、つまり流れが剥離するポイントがはっきりとしているものはレイノルズ数が離れていても再現性がよく、剥離ポイントが微妙なものほど難しいと言われている。レースカーのモデルで言えば流線型のリアウイングなどは難しく、四角いブラケット類のほうが素直ということだ。しかしリアウイングもアスペクト比が小さいので、翼端からの渦のほうが極端におおきくその影響のほうが大きい。また大抵はガーニー(*1)が付けられるので、あれは渦の発生器のようなものでレースカーのウイングはブラッフボディーといってもOKかもしれない。Cカーのフラットボトム等はどこで剥離するかによって大きな面積に影響するので気をつけるべき個所であろう。丸いもの、例えばハーフシャフトなどはまさにレイノルズ数で大きく値が変わるものではあるが、気流のなかに露出している場合はすくない

ソーラーカーなどは微妙だがカクカクしたトラックなどの再現性は良いということだ。そんな訳でレースカーや一般車ではレイノルズ数はある程度あれば心配はいらない。

以下は クラシックなClark YウイングのRN違いの性能図である。 簡単なソフトでの計算なので端のほう(剥離後)はあまり当てにならないので念のため。レイノルズ数に敏感なウイングではこの程度異なる

もっと大きなもののテスト

ウイングスパンが80m近いエアバスA380の実機を巡航速度の880kphでテストする風洞やら、全長3900mの明石海峡大橋の実物を風速80m/sでテストする風洞も世の中にはない。大型のものは全てスケールモデルで風洞実験が行われています。ものによっては何十分の一、何百分の一のモデルで行われる。すでに言及したが、レイノルズ数の低い値(モデルが小さいか速度が遅いか)でのテスト結果は現実を表わしていないかと言うと、測定値がゆっくりとリニアに変化している形状なら高レイノルズ数での値がほぼ正確に推測できるわけだ。

目下世界一高い828mのドバイのビルは1/500スケールモデルで風洞実験が行われた。ビル風の問題を研究するとき、街全体のモデルを作って風洞にかけるが、これもスケールはもっともっと小さなモデルである。

大きな長い橋に関しては日本の建設省にはテストセクション--高さ4mx幅36m--という超大型風洞がある。(最大風速15m)で1/100モデルの明石海峡大橋をテストした。風洞は1991年完成なので橋の完成後になるが。

 

一般的に角のはっきりあるブラッフボディーはRN違いを心配しなくてよいとしてきたが厳密にはそうではないらしいことが解ってきた。明石海峡大橋などは落ちたら大変なのでブラッフボディーである桁類、Cチャンネル、H鋼材等も確認のため全て実験調査している。レポートがあるので興味のある方は読んでください

http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00037/489/489-121995.pdf

説明にあるように12m/秒の風速で1/100モデルということは、想定最大風速80m/秒の状態の1/670のレイノルズ数でテストをしていると言うことだ。円柱などの剥離点などは人工的に固定するとのこと。人工的に固定とはその地点で強制的に剥離するようにスリットか出っ張りをつけるか、または表面をざらざらにして剥がれるようにするとかの処理をしているとのこと。風による応力もさることながら、風に励起される共振を主に検討する。

本州四国連絡高速道路株式会社HPより

上の写真は怖いですね!

鈴鹿 美隆 (Suzuka Racing Svc.)

1980年代のIMSA GTP マシンやC カー、また現在もSUPER GT等、数々のチャンピオンマシンの空力を手がける空力デザイナー。Megane Ⅲ RS用 カーボンリアディフューザーClio / Lutecia Ⅲ RS用 フロントディフューザーClio / Lutecia Ⅲ RS用 カーボンリアディフューザーの設計・デザインを担当