空力ニュースレター No.01

Aerodynamics

空力ニュースレター No.01

Cd・CL・揚抗比

揚抗比は揚力と抗力の比です。車の場合揚力はリフト、抗力はドラッグです。単位は(Kg/時速)、または係数のCd,CLを使います。それぞれ "Coefficient of drag" , "Coefficient of lift" です。揚抗比はそれらの比であるCL/Cdです。Cd,CLの場合は車では前面投影面積(平方メートル)を使って計算します。航空機ではプランビュウの面積を使います。レースカーの場合はウイングを含めた前面投影面積です。

(Kg/時速)表記の場合は近年では150マイル/時(241.4km/h)が一般的になっています。負揚力の表記はプラスマイナスがはっきり決まってないので業界ごとにマチマチです。レース界では殆どのマシンが負揚力(ダウンフォース)ですのでプラスマイナスの符号はつけません。前面投影面積Sはメーカーでは1G状態で計測して2.25平方メートルなどと表しますが車高が変わったり、タイヤ幅が変わるだけで変化しますので2.0平方メートルに固定して表記する場合もあります。レースカーはウイング角度を変えたり、車高も毎レースちがいますのでCD,CL表記は殆ど使いませんで(Kg/時速)表記を使います。

ゼロリフト

一般車では直接的に燃費に影響するCdがおおく語られますが揚抗比(リフト/ダウンフォース)も同じく重要な値で、レースカーでは揚抗比のほうがものを言います。ドラッグはできるだけ少なく、ダウンフォースが強いほうが速くなり、生産車ではドラッグは少なく、リフトも少ないほうが良いということになります。リフトを減らし、ゼロリフトに近くするのをメーカーではかなり力をいれるようになりました。

ゼロリフトを越えるとダウンフォースになります。しかしどのくらいゼロに近いのをゼロリフトと呼ぶのかは決まっておりません。殆どの生産車はリフト状態で、トランク上にスポイラーやらウイングの付いた車はリヤのみダウンフォース状態のものが多いと見られます。

前がリフトで後ろがダウンフォースではバランスが悪く、高速になればなるほど前の車高があがり、その結果前はよりリフトになり、後ろはダウンフォースでさがっていくわけですから更に具合がわるいのですがこれが現状です。

昔、私の乗っていた車は夜中にスピードをだすと前が持ちあがり、後ろが下がるのでヘッドライトの光軸が空を照らすので路面はだんだん暗くなっていきました。同時にハンドルが軽くなるので緊張します。それでも問題がないのは(問題ではありますが)、車重がリフト値より大きいからです。しかし全く問題ないかというとそうでもありません。2000年モデルのVWはある車雑誌のロードテストでリフト量を測ったところ100kph時に前軸リフト38kg、後軸リフト47kgでした。車重は1400kgくらいありますからこの程度では問題ありません。

しかし時速245kmになれば速度の2乗で効いてきますから前軸リフト226kg、後軸リフト284kgになります。これは自重1400kgの車ではかなり安定性に影響するでしょう。 ワーゲンは245kphも出ないでしょうが、123kphで走行中に正面から122kphの突風を受ければ同じことになります。122kphは34m/sでこのような突風はあります。風の強い日にトンネルの出口が切り通しで、またカーブなどの場合は危険です。またフロントがリフトで浮くとさらにリフト方向に車ばピッチして状況は更に悪化します。

1999年のルマン24時間レースこれは1999年のルマン24時間レースでメルセデスが宙に舞った空力事故です。メルセデスはこの週末に3台が同様の事故にあいました。日産もトヨタもこの種の事故にはまだ遭ってませんが、いずれにしろ車高にして1~2cmのちがいで起こりえます。

鈴鹿 美隆 (Suzuka Racing Svc.)

1980年代のIMSA GTP マシンやC カー、また現在もSUPER GT等、数々のチャンピオンマシンの空力を手がける空力デザイナー。Megane Ⅲ RS用 カーボンリアディフューザーClio / Lutecia Ⅲ RS用 フロントディフューザーClio / Lutecia Ⅲ RS用 カーボンリアディフューザーの設計・デザインを担当